救命処置について
私たちは,いつ,どこで,突然の怪我や病気に襲われるかわかりません。そんな時,家庭や職場でできる手当のことを応急手当といいます。病院に行くまでに応急手当をすることで,怪我や病気の悪化を防ぐことができます。
怪我や病気の中でも最も重篤で緊急を要するものは,心臓や呼吸が止まってしまう場合です。急性心筋梗塞(心臓の病気)や脳卒中(脳の病気)などは,何の前触れもなく起こることがあり,心臓と呼吸が突然止まってしまうこともあります。
プールで溺れたり,餅を喉に詰まらせたり,あるいは怪我で大出血をした時も,何もしなければやがて心臓と呼吸が止まってしまいます。「ついさっきまで元気にしていたのに,突然,心臓や呼吸が止まってしまった……。」こんな人の命を救うために,そばに居合わせた人ができる応急手当のことを救命処置といいます。
あなたの役割
心臓と呼吸が止まってしまった傷病者に対して,救急車が駆け付ける間に『バイスタンダー』※1による心肺蘇生法(心臓マッサージや人工呼吸)やAED(自動体外式除細動器)による電気ショック等の救命処置が救命率を大きく左右します。
救急隊の現場到着までの時間は年々長くなっており,当本部管内で9.5分(平成23年)となっています。その間,傷病者に対してあなたが勇気を出して手を差し伸べること,まずはこれが傷病者を救命する第一歩となります。
※1 バイスタンダー (bystander) とは救急現場に居合わせた人(発見者、同伴者等)のことをいいます。
命のタイムリミット
脳は心臓が止まると15秒以内に意識がなくなり,3~4分以上そのままの状態が続くと回復することが困難となります。心肺蘇生法を実施し,脳や心臓に血液を送り続けることがAEDの効果を高め,後遺症を残さないためにも重要です。
命が助かる可能性は時間とともに減っていきますが,バイスタンダーが心肺蘇生を行った場合、傷病者を救命できる確率は格段に上昇します。
救命の連鎖
傷病者の命を救い,社会復帰するまでの流れを「救命の連鎖」といいます。この「救命の連鎖」は,
これらの連鎖により、傷病者の社会復帰を目指すものです。この4つの連鎖が迅速に繋がることで、傷病者の救命率は格段に上昇します。
この「救命の連鎖」,最初の3つの輪までは,バイスタンダーの皆さんが担うものです。バイスタンダーから救急隊へ,救急隊から医師へ,命のバトンを引き継ぐ「救命のリレー」。死の淵にいる傷病者を救うのは,AEDでも高度な医療器具でもありません。また,完璧である必要もありません。救命の連鎖は,まず『バイスタンダー』である皆さんの『勇気ある第一歩』から始まります。
近年,心肺停止傷病者の生存率は『バイスタンダー』の皆さんのおかげで,年々上昇しています。そして,まだまだ伸びることでしょう。いざというとき,自信を持って傷病者に救いの手を差し伸べることができるよう,救急講習を受講してみてはいかがでしょうか。
救急講習の内容を知りたい方,受講したい方は,救命講習案内をご覧ください。